2019年12月(令和元年第3回)定例会 <人権について>

2019年4回目(令和元年第3回)定例会では、人権についてと発達障害の子どもへの服薬についての質問をしました。

<人権について>人権とは自分の存在と尊厳が守られ、自由に幸せを追い求めることのできる権利であり、生まれながらに持っているものですが、毎日意識して生活しているわけではありません。

江戸川区では、女性が自立し、家庭・地域社会・職場などで自分の能力を十分に発揮できるように、側面からサポートしていく場、意識啓発をする場として、1999年(平成11年)に女性センターが設置されました。現在は2017年に改訂された江戸川区男女共同参画推進計画のもとに相談事業や啓発事業を展開し、女性だけではなく男女問わず相談を受け付けています。 その相談者の多くが、パートナーや保護者から当然のようにDVや言葉の暴力をうけており、「それは人権侵害ですよ。」と伝えることで、初めて気がつくそうです。

男性が外で働き、女性が家事・育児を担うという慣習の中で育つことで、性別役割分業は潜在意識に刷り込まれており、男女平等の理念の浸透や女性の社会進出が進んでいるものの、人権侵害となっていることが気づきにくい状況にあります。

 

また、本年度には、総務部に人権推進担当係が設置されました。 同性パートナーや犯罪被害者支援などの企画機能、男女共同参画社会の実現や、LGBTなど性的指向・性自認について、あるいは犯罪被害者についてなど、様々な人権施策の啓発や、人権擁護委員に関すること。同和団体。平和事業に関することなどを担当しています。 さらには、同性パートナーシップの申請を受け付ける窓口を担っています。

しかし、いじめや虐待、ハラスメントなど、他者の人権を考えないような問題が後を絶ちません。あらたな課題でもあるヘイトスピーチや、多様な文化や価値観、ライフスタイルを持つ海外から来た方への差別や偏見など、「人権」ということに重きをおいて取り組むことがより一層重要となっています。

 

多岐にわたり課題が多く、広範な「人権施策」については、専門性をもったNPOや活動団体と協働していくことも今後必要になってくると考えます。

人権課題について、様々な情報を集約し発信することや、資料の収集や提供のできる場を作ってはいかがでしょうか。人権について取り組んでいることを、区民にわかりやすく見えるようにし、人権課題に取り組む団体間のつながりを作ることや、こうした団体の活動の後押しをすることが必要です。新たな活動団体が登場する可能性もあり、団体が増えることは、私たちの人権を守るための財産となります。

 

そこで2点伺います。

 

Q:仮称人権センターを置き、人権課題について、総合的な窓口をもって展開することについて、どのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

 

 

Q:また、人権問題に取り組むを踏まえた団体が協働できるしくみをつくることについて、いかがお考えでしょうか。伺います。

 

 

次に発達障害の子どもへの服薬について伺います。

社会の発達障害への理解がすすみ、早期発見、早期療育することが子どもの将来にも有効であるということが浸透してきました。本区においても就学前に療育を行う、育成室や、民間の児童発達支援事業所に通う子どもも増えています。

また来年4月には、乳幼児期から大人まで切れ目のない支援を行うことができる、相談と支援を兼ね備えた発達相談・支援センターが小松川幼稚園跡地に開設されます。先日、内覧会も行われたところです。

外からはわかりにくく、支援が届きにくい発達障害のような障害に対して、適切な相談と療育がなされることが成長期の子どもには重要なことです。

 

一方で、子どもに関わる現場の大人や保護者が、早期発見、早期療育を心がけるあまり、医療につなげ、服薬をすすめる実態となることも否めません。集団の中で落ち着いて過ごせるようにと、「薬は飲んでいるのか。」「医療機関の受診をしているのか」と保護者が問われることがあると聞きます。ともすれば「薬を飲まないと登校させません。」あるいは「受け入れられません」と言われているように、保護者が受け取ってしまう状況に陥りかねず、その集団から困った子を追い出すことになってしまいます。

保育や教育現場では、職員に子どもたちを見守る余裕がないことや、子どもを預けている保護者も、子どものことより、周りに対する迷惑などを優先してしまうことが、薬に頼ることに繋がるのではないでしょうか。

 

子どもの服薬は慎重に行うことが必要だと考えます。

先日、小児科医・児童精神神経科医である石川憲彦先生のお話を伺いました。かつて、発達障害の一つであるADHDの子どもに、リタリンというメチルフェニデート塩酸塩製剤を処方したそうです。効く子どもには効果があり、注意力が続かず落ち着きのない子どもであったのが、机に向かうことができ、その結果成績も上がり、保護者には感謝されたとのことです。

しかし、先生にとって4人目の患者の保護者から、目がトロンとしている、これは薬物中毒ではないかと指摘されました。

たしかにメチルフェニデート塩酸塩製剤は、覚せい剤の原料となるもので、薬局でも厳重に管理が必要な向精神薬です。先生が、薬物依存というリスクがあるリタリンから離脱させるために、20代から30代の何人かと付き合い、その悲惨な様子を目の当たりにされました。

 

「全ての薬は毒ではあるが、生命に係るなど、飲まざるを得ない状況の時は飲む。ただし、いつやめるのか、目標と仮説を作り服用すること。特に発達段階にある子どもの脳に対して、薬によってを服用することで手を加えると何が起こるかはわからないから、飲んではならない。また、症状が一生続くとすれば、薬も一生飲み続けることになりかねなく、40年、50何十年使っても人体に害がないのか、中毒や依存以外の問題はないのか明確にする必要がある。もちろんてんかんなどの発作がある場合は、タイプによっては一生飲み続けることもあるが、薬は基本短期的につかうもの。薬に頼るのだけではなく、不注意や落ち着きのなさはどこから生まれているのかを見つけて、生活の中での原因をなくすこと」とおっしゃいます。

現在リタリンは、ADHDでの使用は禁止されましたが、小児向けの向精神薬が認可され始めています。今年はビバンセが認可されましたが、やはり、覚せい剤原料として指定されているものです。

 

そこで伺います。

Q保育園や、幼稚園、学校、すくすくスクールなど、子どもに関わる現場の職員は、発達障害児への服薬のリスクの認識を持っているのでしょうか。お聞かせください。

 

 

今年3月に、国連子どもの権利委員会は日本政府の第4回・5回統合報告書に関する最終所見を公表しました。その中で、「障害が社会の側にあるととらえることや、医療によらない治療を行うことをなおざりにしたまま、ADHDを伴う行動障害と診断された子どもの数が増えていること、薬による治療が増加していること」に対して深刻な懸念が示されています。そして、「ADHDの診断について徹底的に検討されるようにし、薬物の処方は最終手段として個人に合わせた判断がある場合のみに行われること。副作用について知らされること。医療によらない方法については、適切に確実に知らされるように。」と要請がありました。

 

発達に課題がある子どもが、受給者証を取得し適切な療育を受けること、あるいは学齢期において、特別支援教室などに通うことは、その子どもの個性を生かしながら改善することにつながると考えます。

 

Q発達障害への支援を受けるには、医療の判断は必ずしも必要ではないと考えますが、現状はいかがでしょうか。

また、発達障害に対する根本的な治療薬はないことや、副作用が起こりうること、薬によらない手段についての情報提供は各相談機関で行われているのでしょうか。 伺います。

 

 

最後に、来年、本区では一時保護所を併設した児童相談所を開設します。

東北文教大学の吉田耕平講師の調査によれば、2017年時点で入所している子どもの34.3%が向精神薬を服用していました。2007年に厚労省が行った全国調査では、服用率は3.4%であるので、この10年間で急増していることがわかります。

子どもの問題行動を抑制するための手段として、指導の代わりに向精神薬が安易に用いられるのだとすれば、人権侵害になりかねません。

 

Qこうした現状についてはどのように認識されているのでしょうか。お聞かせください。

 

以上で私の1回目の質問を終わります。

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