本会議で質問しました。  「平和事業」「生活困窮者支援」について

質問全文掲載します。

 戦後70年を迎えた今年、国の安全保障政策は大きな転換期を迎えました。ここで改めて「江戸川区平和都市宣言」を読み上げ、通告に沿い、平和と人権に基づくテーマについて、質問させていただきます。

「江戸川区は、過去幾多の困難を乗り越え、平和で安住できるまちになった。水と緑に囲まれた、この素晴らしい郷土を次の世代に守り伝えよう。戦後五十年にあたり、生命の尊さと平和の大切さを深く心に銘じ、恒久の平和と繁栄を希求して、ここに江戸川区は、平和都市であることを宣言する。」

①    まず、江戸川区として行っている平和に関する事業について、具体的な取り組みをお聞かせください。

 毎年、3月に「東京大空襲江戸川区戦災犠牲者追悼式」、7月には「江戸川区原爆犠牲者追悼式」が、区の後援を受け市民団体の主催で行われています。また、平和をテーマとした展示やコンサートなど、さまざまな市民による取り組みも行われています。この2つの追悼式には、小中学生や高校生が平和について発言する場も取り入れられ、戦争や被爆による悲惨な体験を忘れることなく、次世代の若者たちへ引き継いで行きたいという主催者の思いが伝わってきます。

 今、広島や長崎ですら、8月6日や9日の原爆記念日のことを知らない子どもたちが増えています。江戸川区も、東京大空襲による大きな被害を受けた地域でありながら、現在、どれくらいの子どもたちが、この体験を知っているのか心配するところです。平和都市宣言を謳う江戸川区として、学校教育の中だけでなく、区全体として、平和な社会を築いていく姿勢を示し、伝えていくべきであると考えます。

 そこで、戦争や被爆を体験した方々から次世代の若者たちへと引き継いでいくために、2つの提案をさせていただきます。

 一つ目は、「語り部の育成」についてです。

 原爆犠牲者追悼式では、毎年、被爆者の方による証言が行われていますが、年々、式典に参加できなくなる方も増えているのが現状です。今はまだ、区内の小中学校に出向いて体験談を話される機会もありますが、これから先の不安を抱えておられることも事実です。そこで、戦争や被爆体験を伝承する人の育成をすすめてはどうでしょうか。

被爆や被災の事実を学ぶことはもちろん、専門家による話法技術や朗読技術の習得をプログラム化し、区民の方への研修を実施する。研修を終えた方々は、例えば、小中学校の授業や区の行事などに参加し話をするという内容です。②区のご見解を伺います。

 二つ目は、「平和資料展」の常設についてです。

 小松川さくらホールで行われる「東京大空襲戦災犠牲者追悼式」の開催に併せて、1階のロビーでは、3、4日間にかぎり、区内に残る数々の遺品が展示されています。その展示会場ここでは、「世代を結ぶ平和の像の会」の方からの説明を聞くこともできます。実際に江戸川区が、大きな空襲被害を受けていることを知らない人が多いにも関わらず、3月のこの時期だけに限られているために、当時の状況を聞く機会もほとんどありません。

 そこで、③江戸川区が保管しているこれらの資料や展示物について、日常的に多くの方が見られるよう、公共施設内に常設することを提案しますが、区のお考えを伺います。

 次に、「生活困窮者自立支援制度」について質問します。

 2006年、時の麻生太郎総理大臣は、「貧困が一定程度広がったら政策で対応しないといけないが、社会的に解決しないといけない大問題としての貧困はこの国にはないと思う」と話していましたが、その見通しは甘く、数年のうちに生活困窮者対策を制度化せざるを得ない状況となりました。

今年4月、施行された「生活困窮者自立支援法」は、社会構造の変化に対応するため、生活保護という「第1のセーフティネット」に次ぐ「第2のセーフティネット」としてスタートしました。2つの必須事業、4つの任意事業が盛り込まれています。

 しかしながら、この法律は、国が基本方針を策定したり、都道府県が実施計画を持つことが規定されていない一方で、対象者は「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持できなくなるおそれがある者」と幅広く定義されました。そこで、自治体こそが現在の深刻な状況をいかに受け止め、生活保護に至る前の生活困窮者にどういった支援策を展開するかが大きなカギになると考えます。

最初に、必須事業である自立相談支援事業について伺います。

 ①スタートから5ヶ月が経ちましたが、江戸川区では、これまでにどの程度の自立相談があり、どれだけ支援プランにつながったのか、どういった機関との連携が図られているのか、また、支援プランにつながらなかった方々にはどういう対応をしているのか、伺います。

次に、任意事業、まず生活困窮家庭の子どもへの学習支援について2点伺います。

 江戸川区の生活保護受給者は、都内でも2番目に多く、2万人を超えています。そして、生活保護に至る前の生活困窮世帯が多く存在していることが推察されるところです。生活保護世帯で育った子どもの4人に1人は、大人になっても生活保護を受給しているという調査結果に照らせば、貧困の連鎖を生まない、基本的な手立てとして、学習支援こそが貧困対策の根幹であり、今回その範囲を、生活困窮家庭にまで広げたことは画期的です。

 ②そこで、まず、生活困窮家庭の子どもたちへの学習支援の実施状況と支援の内容について伺います。

 国の調査によりますと、生活保護世帯の子どもの高校進学率は89.5%と一般世帯98.2%に比べ、10ポイントほど低く、中卒で就職した場合の就職率は56.7%であり、高卒者の就職率96.7%に比べ著しく低くなっています。

 ③そこでこの制度のもと、江戸川区の生活困窮者対策の最大の柱として、全区的な学習支援事業の展開を願うものですが、区は本事業についてどのように周知してきているのか、また、生活困窮者世帯の子どもたちへの支援につなげる過程では、十分な配慮が必要と考えますが、そのプロセスについても合わせてお聞かせください。

次に、対象となる方の中には、就労しているがお金をうまく使えず、次の給料日までに生活費がなくなる、公共料金を滞納している、というケースも多くあるでしょう。就労さえすれば、貧困から抜け出せるというものでもありません。

 ④こうした場合、家計管理を行うという基本を身に付けなければならず、家計相談支援は非常に重要な役割を持つと考えます。江戸川区においても早急に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、ギャンブル依存症やアルコール依存症の方々の救済・支援にもつなげていただきたいと考えます。

 依存症は、慢性の進行する病気で、その影響は当事者にとどまらず、犯罪にいたる可能性や、自殺の危険性が高まると言われ、社会問題のひとつと認識されながら、これまで支援が行き届きにくかったことも事実です。

 ⑤こうした依存症を、この新たな事業の支援対象と明確に示し、江戸川区における重点取り組みと位置付けてはいかがでしょうか。ご見解を伺います。

次に、就労準備支援事業について伺います。

  区では、すでにさまざまな分野で就労支援がなされているためか、就労準備支援事業は最後の段階と考えているとのことです。

 しかし、生活困窮者の中には、複合的な課題ゆえに「制度の狭間」にあって、適切な支援を受けられなかった方も多く存在すると思われ、これまでの就労支援とは区別して実施すべきものと考えます。

 過去の生活歴や、健康状況、家族関係など多くの背景や課題が複合的に絡み合っていることが多い生活困窮者に対しては、これらの課題を一つひとつひも解き、時間をかけて丁寧に、生活支援と組み合わせた就労支援を展開することが必要と考えます。

 ⑥就労準備支援事業は、多様な状態像に合わせた包括的な就労支援策の一つであり、就労に向けた準備が整っていない方々を対象に、自立相談支援事業と並行して行うことが必要ではないでしょうか? 区のお考えをお聞きします。

最後に、「江戸川区地域福祉計画」について伺います。

 区では、計画の「福祉サービス基盤の充実」のなかに「生活困窮者への支援 生活保護法による支援」を謳っていますが、「生活保護受給者の就労支援の事業と活動」が挙げられているだけです。本計画が策定されたのは2012年度末であり、区が現在実施する「生活困窮者自立支援事業」新たな「生活困窮者自立支援事業」については速やかに盛り込むべきと考えます。区のご見解を伺います。

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