LGBTの対応について~2017年第三回定例会一般質問②

LGBTを含む性的マイノリティについて

LGBTという言葉は、だいぶ認知されるようになってきましたが、まだまだ正確には理解されていないのが現状です。今年3月、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、LGBTを理由とする差別やハラスメントの禁止規定を五輪憲章の下で明文化しました。具体的な動きを、行政が後押しすることがますます求められています。

「江戸川区男女共同参画推進計画」が今年4月、新たに制定されました。これまでなかった性的マイノリティについて記され、性別による役割分担意識にとらわれず、男女問わず様々な活動に参画できるよう、多様な機会を活用した啓発活動や研修、講座等の実施、および性的マイノリティに対する理解を深めるため、人権教育を通じた啓発活動に努めると明記しています。

現在、江戸川区では人権相談として受け付けることになっており、直接の窓口はありません。そのためLGBT当事者の人たちは、結局どこに相談してよいのかが分からなく、他区に相談に行くということが現実に起きています。

LGBTの人からの相談は、教育関係であったり福祉の窓口であったり、さまざま考えられます。いちばん先に対応にあたる窓口がどこであっても職員が適切に対応し、関係機関につなげられることが必要であり、職員への実践的な研修を望むことから、職員に向けての具体的な研修や啓発の取り組みについて質問しました。

答弁では、職員へは、人権学習会、講演や学習会、新人研修、一般職員を対象にした人権同和研修を行っている。一般職員については、5年ごとに必ず実施をすることになっている。性の多様性について、国や自治体の動きについて紹介をするとともに、講師のかたから例えば「あなたのお友達からカミングアウトしたときに、あなたはどのような対応をしますか?」というような事例を交えて行っている。これだけで充分ということではないので、これからの研修の内容、回数について検討し、さらに理解を深めていきたいと考えている。というものでした。

次にLGBT当事者ではない人たちにはあまり意識されていないませんが、共に暮らしていく中では銀行ローンや保証人の問題も発生します。渋谷区ではこの証明書の写しを提出することで、同性パートナーを配偶者と同様に取り扱う銀行も出てきました。この証明書が発行されることで、パートナーが同性である人たちも、男女で婚姻をしている人同様に住宅ローンを組めるようになったわけです。公的機関による証明書は、当事者にとっては心強いものにもなります。誰もが差別されることなく、日常の生活を営むことができるように、同性同士のカップルに、婚姻証明に相当するパートナーシップ証明の発行についての区の考えを質問しました。

昨年第4回定例会で区長がお答えした通りであり、パートナーシップ証明、実際に運用はされているが、法的なものとして確立しているものではなく、それを受け止める方の体制も整っている状況いないので、引き続き検討課題とする。という答弁でした。

次は、学校現場の啓発についてです。

多くのLGBTの人たちが、小学生の頃に自分自身に違和感を覚え、周りからも「変なやつだ」と思われていたと言います。高学年の児童から「お前は、男なのか?女なのか?」と問い詰められて泣いて帰ってきた小学生や、女子更衣室で着替える際に、自分がここで着替えてよいのかと罪悪感にさいなまれたという、身体は女性だけれども心は男性の中学生が、江戸川区でも学校に通っています。

LGBTの相談があったときには、各学校が個別に対応しており、スクールカウンセラーや保健の先生などが相談にのっていることは承知しています。しかし、日ごろの教室での男子・女子の色分けや呼び方などに、違和感を抱いていても、ことばには出せない子どもたちもいます。信じられないことですが、トイレの問題を教師に相談したときに「向かいのコンビニに行けば」と言われた生徒もいるそうです。あってはならないこうしたことを無くすためにも、学校現場における環境を整えるべきと考えます。LGBTの問題を、個別対応として各学校や校長先生に任せるのではなく、江戸川区として教員への具体的な啓発の取り組み、今後の対策を質問しました。

 

教育長の答弁は、トイレの話にはびっくりした。区内で起こったことかどうなのかと思ったことではある。もし区内だとすると、強く教育しないといけないと思う。人権教育を研修で初任者研修、2年次研修、10年次研修、ミドルリーダー研修や生活指導者研修など、職層に応じて学ぶ多様な機会をこれまでも設けているが、これからも行っていく。すべての学校の人権教育担当教員には、年に4回研修を行っている。そのうちの1回はLGBTだった。第90号ふれあいでは、これは全教員が読んでいる冊子。性同一性障害、性的指向について特集した。都の人権教育プログラムでも多目的なトイレの利用を職員トイレの利用を認めるといったことなので、ちょっと違うと思っている。そういうことを含めて、教育委員会が中心となって、一人ひとりへの具体的な啓発活動にこれまでも取り組んできたが、これからも取り組んでいきたい。という答弁でした。

教育現場でこそLGBTの人たちへの正しい知識と配慮が求められ、まずは教師自身が正しい知識と子どもたちへの接し方などを理解しておくことが重要だと考えます。