決算特別委員会 総括意見
少し遅くなりましたが、昨年、決算特別委員会での審議最終日の総括意見をお知らせします。決算は前年度のものを審議するので、数字は2018年度のものになります。
昨年度は、西日本豪雨や北海道 胆振地方の地震によるブラックアウトなど、自然の力を再認識した年でした。スウェーデンの16歳のグレタさんが世界中に訴えている「気候変動が緊急事態にある」ということばに強く共感するものです。台風や猛暑で、デパートや外食産業では、外出控えによって来客数が減少した一方、気温上昇でエアコンや飲料の売上が増加するなど、気候変動が、市民の消費生活や企業の経済活動に大きく影響することを実感しました。だからこそ、まちづくり、福祉や環境など、区の施策の重要性が増してきます。保育関連事業の拡充など、子どもの育ちを応援する施策に鑑み、2018年度江戸川区一般会計歳入歳出及び各特別会計歳入歳出決算を認定いたします。
特に意を用いていただきたい項目を改めて申し上げます。
始めに未来を担う子どもについてです。
まずは子どもの権利を、「(仮称)未来を支える江戸川こどもプラン」に明記し、子どもが意見表明をできる仕組みと、アドボケイトについてもお考えいただくことに加え、子どもオンブズパーソンなど、第三者によるチェック機関の設置についても検討することを強く要望します。地域の子どもの育ちを地域で支え、保護者が孤立しない子育てができるように、働く、働かないにかかわらず、子育て支援の充実を求めます。
子育てひろばの配置のバランスを考え、充足していない地域には設置し、支援員を置くことを要望します。ゼロ歳児のリフレッシュのための一時保育は虐待防止につながります。保護者同士のつながりを作ることでの預け合いや、ひろば内での一時保育など、気軽に預けられる環境を増やすことを要望します。
また、様々な形態の保育施設を区立保育園が中心となりつなぎ、地域の子どもとしてとらえることや、保育の質の向上を目指すことを要望いたします。
情報モラルについては、子どもたちが安全にネット環境を使用できるように、「自分の身を守る」「他人に迷惑をかけない」の2つに集約される「情報モラル」をしっかり認識するように、区としての環境を早急に整えるべきと考えます。
図書館については、インターネットでも読書ができる現代だからこそ、図書館が自分が考えてもいなかったような本や人との出会いのある場であることを発信し、本に接する機会が少ない若い人たちが、足を運ぶような魅力ある図書館を求めます。
食育という観点から、香りの害「香害」についてです。
化学物質である香り成分のもたらす健康被害について、学校でも周知するとともに、過剰使用に対する自粛を促し、特に給食当番の白衣の洗濯においては、柔軟剤などの着香製品を不使用とすることを要望いたします。
男女混合名簿については、人権の尊重、男女平等を目指すときに、やはり言葉や文字にして目に見えることも重要になると考えます。学校に任せてしまうのではなく、名簿の在り方を検討できる具体的な提案を教育委員会として、発信していくことを要望します。
次に誰もが自分らしく暮らせるまちについてです。
高齢者ができるだけ自分の力で生活できるように、支援を充実させることが重要です。介護予防・日常生活支援総合事業のサービスが少ないのは何が課題なのか、事業者、利用者、双方の視点から、検証するようお願いします。法定の会議体ででた意見を「熟年しあわせ計画及び介護保険事業計画」に反映させ、議論が深まるよう取り組むことを要望します。
介護現場の人材不足について特に訪問介護は、高齢者の在宅生活を支える基本のサービスですので、人材確保に力を入れるよう要望します。
障害者施策では、障害を持つ18歳以上の方が、地域で暮らし続けられるよう余暇という観点や、ともに暮らしている家族にとっての介護者支援の充実が必要です。地域生活支援事業の事業委託先を広げ、サービスの実施先を増やすことを要望します。
居住支援協議会については、住宅確保要配慮者に安価な家賃の住宅の提供を行うことや、活き活きと暮らすことができるよう、地域をコーディネートし、人と人とをつなぐゆるい形の見守りと支援を作ることが必要です。
本区の居住支援協議会に専門家や支援団体も入れて協議していくこと、そして会議の議事録は公開とすることを要望いたします。
生活支援の一つである、お宅まで職員がごみの収集に伺う「個別訪問収集」の利用が増加しています。「地域支援ネットワーク」と連携し、緊急時や災害時に備える体制を整え、災害時の復旧対策など、職員でなければできないことの再評価を行い、すべてを委託に進めていってよいのかを検討することを要望します。
安心して暮らしていくための施策についてです。
まず、ハザードマップについては、何を整備していくのか、何に取り組んでいるのかということを真摯に区民に伝えるべきです。現実に即した治水対策を優先し、スーパー堤防整備方針を見直すことを要望いたします。
マイナンバーは区民や職員にカード取得を強要しないことや、広報では危険性への注意喚起も行うこととし、不必要なカードの普及は行わないよう求めます。
平和祈念展示室は、学芸員のアイデアを借り、近隣の戦災資料センターなどと連携をして、東京大空襲の体験を次世代に伝えていくために、定期的に展示を入れ替え、体験者の話を伺う機会やその話をもとに語る、語り部の養成を要望します。
最後に新庁舎建設についてです。
地球温暖化対策のために環境にも配慮したゼロエネルギービルぜひ実現していただくこと、自分たちが作る江戸川区であると自負できる、市民と区が協働できる行政運営を行うために、計画段階からの情報公開と市民参加をより一層進めるよう要望します。
最後に、自分らしく暮らし続けられるまちづくりは、ハード面だけでなく、人を育てるソフト面にも充分重きを置いていただきたいと願うものです。「持続可能な江戸川区」を次の世代を担う子どもたちに引き継ぐための施策の充実を強く要望して、生活者ネットワークの総括意見といたします。