2018年 予算特別委員会 総括意見
2018年の予算特別委員会では、本西みつえと二人で、全ての項目に質問を行い、委員会の最終日に、下記のような予算の総括意見を述べました。
2017年、国においては「いざなぎ景気を超えた」とか「景気が拡大した」などと言われましたが、内閣府発表の景気動向指数の上昇で、景気が拡大していると判断され、その上昇期間が「いざなぎ景気」を超えたというだけの話です。株価は高水準、雇用状況も好転していると言われても、私たち消費者は、実際に使えるお金が増えたわけでもなく、緩やかな景気拡大を、日常生活のなかで実感できずにいることに変わりはありません。
本区においては、税制改正の見直しで交付金が減額されましたが、区民サービスが損なわれることのないように、6年ぶりに財政調整基金を取り崩しました。児童相談所の設置や子どもの食の支援、スクールソーシャルワーカーの増員など、子どもたちの支援のための予算も確保されたことから、第1号及び第2号から第4号までの各予算案に賛成し、修正案に関しましては、一部の趣旨は理解するものですが全体としては反対しました。
<再度要望したこと>
誰もが自分らしく暮らせるまちのための取り組みについて、地域包括ケアシステムの構築に当たってはボランティア団体などの地域の力が不可欠。介護予防・日常生活支援総合事業に取り組むかどうかは、その団体が主体的に決めることではあっても情報の提供が必要。介護の現場が大きく変わる年です。「広報えどがわ」で特集を組み、総合事業の担い手研修についても、介護人材確保の一つの取組として、定期的に複数回行うことを要望しました。
障害者福祉においては、施設や病院ではなく地域で共に暮らすという流れにあり、利用者も事業者もヘルパーも、制度のはざまで困ることのないよう整備していくことが必要です。病院内での介助については検討することや重度訪問介護の見守りが必要な人には認めるよう要望しました。また、精神障害者への社会復帰支援が拡充されますが、地域活動支援センターがバランスをとった配置となるよう増設を要望しました。
一人ひとりの力を伸ばし、地域力を強めるための取組みについて
例えば「ボランティアセンター」という名称を、「ボランティア・市民活動センター」としてはどうかと提案し、ボランティア活動と市民活動支援とを一体化させ「新しく活動を始めたい」と考える人たちへのアドバイスを分かりやすく提供すること求め、区内のコミュニティ会館については、サークル活動がさらに盛んに行われるよう、備品を置く場所や、ロッカーなどをあらかじめ設置し、また、子育て中の方も集まれるような部屋や設備を整えることを要望しました。
環境優先の観点からの取り組みについて
日本一のエコタウンをめざす「エコタウンえどがわ推進計画」については、先進的な取り組みとして、地域新電力会社の設立が盛り込まれたことは評価しました。そして、この新たな取り組みの実現に向けては、区民とともに、積極的に取組み、実効性のあるものにすることを要望しました。また、容器包装プラスチックの分別収集など、リサイクル自体には費用がかかるけれども、プラスチックを燃やすことによる有害物質の発生を減少させ、燃やすごみの量が減ることで、温室効果ガスの発生を減らすことができます。資源プラの回収から10年が経ち、リサイクルに関する区民の意識は低下しているように思えるため、改めて住民一人ひとりがきちんと分別する意識の啓発になるよう丁寧な周知と情報提供を要望しました。
羽田空港機能強化について、北風時には、荒川上空を離陸便が通るようになることを、当事者として知らない方も多いことが分かりました。広くきめの細かい周知を求め、騒音や落下物への不安は、一番の関心事であることから、区としても、住宅街の上空を飛行することについての安全策を国に強く求めることを要望しました。
石鹸利用について、江戸川区は「石けん指針」をもっています。このことを区民にもご理解いただけるように、石けん利用の考え方をコミュニティ会館の利用者にわかるように表示することを要望しました。
臨海町や南葛西地区では、ドッグラン化している公園がいくつかあり、「子どもたちを遊ばせることができない」という声があります。犬だけではなく、動物との共生にはマナーが大変重要です。マナーを教えあう場として、区の南の地区にもドッグランの設置を求めました。
妊産婦の支援からの虐待予防について
駆け込み出産や、妊娠届出の遅れによる危険な出産がないように、健康サポートセンターに「妊娠出産相談窓口」があることを、今以上に周知することを要望しました。一見リスクがないように見える家庭であっても、産後は小さな危機が多くの人に起こるということを理解し、子育てひろばでは、そうした変化を見逃さずに適切な支援へとつなげられるように、人員を配置し、支援員のスキルアップを図り、ケース検討などの情報交換を各ひろばで連携して行い、児童虐待を未然に防ぐための支援を求めました。育児支援ヘルパーを引き続き、育児不安がある人につなげること、産後ショートステイなどの、産後ケアの広報も広く行い、必要な人に届くようにすることを要望。「子ども子育て支援事業計画」のニーズ調査においては、家庭的保育の充実など、今日的な課題を抽出できるよう、子育てひろば内やインターネットを活用した調査の検討を求めました。
次に学校教育について
全校で始まる特別支援教室の巡回指導については、巡回する教員と在籍校の教員とが連携することで、発達障害のある多くの児童にとって、学びやすい環境が整うと考えます。この取り組みに大いに期待し、スクールソーシャルワーカーの増員を評価しました。スクールカウンセラーと同様のさらなる増員とスーパーバイザー機能を持つ仕組みを要望。また、読書科を推進している本区なので、図書館司書は巡回ではなく、全校に配置し学びの手助けとなるよう要望。学校で使われる名簿は、性別などにかかわりなく個人を尊重する意識をもった児童・生徒を育成するための基礎ともなるため、区としてどのように取り組むのかを協議し、男女混合名簿の推進を要望しました。2018年度には、中学校の道徳の教科書採択されますが、授業のなかで自分で考えることのできる力を育てるための教科書を採択すべきと考えます。より多くの区民の意見を取り入れるために、展示期間の拡大や場所を増やすことや寄せられた意見については、公開することを要望しました。
まちづくりについて
雨水タンクの設置は、内水氾濫対策の第一歩になります。区民が、自助としても共助としても、ゲリラ豪雨に備え、雨水を集め、活用することで、日頃から水害対策の一環だと意識できる環境づくりになります。災害の時には、初期消火の水や生活用水にも使える雨水(あまみず)タンクの助成を要望。
区には、3ヵ所のスーパー堤防がありますが、いずれも「堤防高の30倍の幅」で「なだらかに盛り土する」という基本形が保たれていません。施工が限定された下流域は、市街化されており、30倍の幅を確保するのは今後も極めて困難です。「30倍の幅」で「なだらかに盛り土」されていなくても「安全」と言えるのであれば、そもそもスーパー堤防の意味はなくなります。水害に強いまちにするには、堤防は堤防としての強化を、他の耐越水堤防の手法も検討していくべきと考えますので、改めて区としての再考を要望。
最後に導入が予定されている会計年度任用職員制度について
たとえば、任用期間の長い臨時職員や非常勤職員のなかには、正規職員よりも経験や知識が豊富で、正規職員と同等の仕事をしている人もいると考えられるため、任用期間に応じての昇給や昇格、期末手当の支給など処遇改善を検討することを要望。また、指定管理者が雇用する労働者についても、区の責務として、雇用されている人たちの賃金や雇用の継続についてもしっかり評価するよう要望しました。
2018年度の予算は、これからの社会をになう子どもたちへの支援が強く表れていることが特色であると考え賛成しましたが、オリンピック・パラリンピックよりも、児童相談所の開設に向けての取組みや「子育ち・子育て」のための引き続きの支援を望み、区政には考える区民を増やしていくことが必要だと考え、区民参加の機会をより一層充実させることを要望し、生活者ネットワークの総括意見といたしました。