2019年9月定例会② 「森林環境譲与税の使い方」について

2019年9月定例会 ②森林環境譲与税の使い方についてです。

今年も日本各地で大雨が降り、浸水被害となりました。これは地球温暖化による気候変動が原因とも言われています。大雨が降ると河川は増水し、山間部では、土砂崩れや大量の倒木が橋げたに引っ掛かり、水があふれている映像をよく見るようになりました。荒川や旧江戸川の最下流部のゼロメートル地帯に暮らす私たちは、越水や破堤が起こらないよう、堤防強化や内水氾濫対策など水害への備えに力をいれていることはいうまでもありません。

上流の山間部では、なにが起きているのでしょうか。

日本の国土の3分の2を占める森林では、熊などの動物の食料となる実が少なくなり、人の暮らす街に出てきています。その森林の7割から8割が手入れのされていない「放置林」であることを環境団体から伺いまいました。

戦後の拡大造林政策で東北6県分の面積にあたる原生林を伐採し、山の奥地まで杉やヒノキを植えましたが、安い木材が海外から輸入され、林業は衰退し、森林は放置されてしまいました。植樹された人工林であっても手入れをしていないため日光が入らず、下草が育たず、雨で表土が流れ出し、土砂崩れも起こりやすくなっています。そのため多様な生物が住めなくなり、絶滅の危機に瀕することにもつながっている人工林を、自然に近い森林に戻していくことが必要です。

今年度より新たに、森林環境譲与税が前倒しで江戸川区にも交付されています。

森林の整備に関する施策、森林の整備を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進その他の森林の整備の促進に関する施策に使用することができます。

江戸川区では、その交付金(約2600万円)を見込み、今年度は児童相談所の内装に使用し、来年度以降は学校改築での内装に国産材を使用することと聞いています。もちろん、国産材を使用することは、林業を活性化することにつながりますが、学校改築時の国産材の使用は、森林環境譲与税が交付される以前から行ってきていることでもあるので、もっと区民が自然林の豊かさや生物の多様性などを体験しながら学ぶことなど、森林の公的的機能に関する普及啓発を行うことを提案しました。

※森林環境税は、2024年から1人1000円徴税される予定です。