2022年第3回定例会 1/3 「香害」による健康被害について

2022年第3回定例会では、

①「香害」による健康被害について、②戦争を次世代に伝えることについて、③男女共同参画推進計画について、の3つの質問をしました。3回に分けて報告いたします。

 

①「香害」について

香りは、汗などの「においエチケット」ととらえられたり、香水など個人の嗜好とされることも多いものです。しかし、吸い込むことで特異な症状を起こす人もいることから、たばこの煙とよく似ており、化学物質過敏症の問題にも関係してきます。

2017年夏に、日本消費者連盟が実施した電話相談「香害110番」により、香りの害に苦しむ人が大勢いることが明らかになり患者の支援者や環境団体が「香害をなくす連絡会」を結成し、2019年12月から2020年3月まで「香害」のアンケートを行いました。寄せられた回答は9,332件、そのうち約8割の7,136件が「香りつき製品で、具合が悪くなったことがある」と答えています。原因となった製品の1位は、柔軟剤で6134件。全体の86%を占め、2位は、香りつき合成洗剤、続いて、香水、除菌・消臭剤があがっています。症状は頭痛、吐き気が圧倒的に多くなっており、中には仕事を続けるのが困難になり退職せざるをえなかった、学校に行けなくなった、入院したなどの回答もありました。

専門家はアンケートの集約結果から「柔軟剤はマイクロカプセルが次々はじけることで、香りがたち、長続きする。『香害』の問題だけではなく、環境中のマイクロプラスチックの排出源としても重大な影響を、環境や健康に及ぼしている可能性があり、実態解明を早急に行う必要がある」と警鐘をならしています。

洗剤には、表示義務がありますが、柔軟剤にはなくどんな成分で構成されているのかわかりません。

生活者ネットワークでは、2020年7月に、現在表示が義務付けられていない柔軟仕上げ剤や消臭剤などの成分開示について、関係省庁である消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省に対し、「家庭用品品質表示法」の指定品目にすることや香料の成分表示を義務付けることを要望しました。

理解が進んでいないために、意図せず香料が含まれるものを使用しているかもしれません。

例えば、対面業務にあたる職員の衣類や、公共施設で使うトイレの洗剤などから、香害を発生させてしまうことがあり得ると思います。化学物質を暴露することにより、ある日突然発症することが考えられる「香害」について、すでに困っている方が存在していることを多くの方に知っていただく必要があると考えます。

化学物質過敏症の発症が増加していることから、2009年に厚生労働省は「病名リスト」に追加登録しています。本区では、消費生活情報誌『いいくらし』に2018年に一度取り上げられましたが、これだけでは十分とは言えません。昨年8月、国において関係する5省庁が香害の周知と香り製品の自粛を求めるポスターを連名で作成しましたが、届いたポスターは、消費者センターの内側の壁に貼ってありますが、それでは多くの方に気づいてもらうことができません。

特に、子育てひろばや、保育園、共育プラザなど、子どもがいる場面では予防原則に立ち、対策が必要です。

成長期の子どもに対して学校での取り組みは、大事です。給食の白衣の洗濯に、よかれと思って柔軟剤を使用することも香害の原因になります。

区としての「香害」に対する見解を問いました。

また、教育長には、教育委員会から「香害」についての情報の周知を発信することの見解を求めました。