羽毛をリサイクルしよう!!

「世界中のダウンが減っているらしい…」「良質なダウンが減っている」

これまで国内で使い捨てにされてきていた良質な羽毛を、資源として循環させることは、世界的にみても羽毛の需給バランスの安定をはかるためにも必要となってきています。

軽くて暖かいと使用しているダウンジャケットや羽毛布団は、価格も発売当初より安価になり、新しく買い替えることも容易になりました。ジャケットは、ユニクロなどでは、リサイクルを提案していますが、ほとんどの方は可燃ごみに出してしまうのではないでしょうか。また、布団は粗大ごみになり、自治体によっては分別してリサイクルしていますが、最終的には燃やしているのが実情です。これをリサイクルしている会社がありました。リサイクルしたダウンは、綺麗に洗われるため最初の製品のときよりきれいになり、アレルギーなども出にくくなるといいます。4000円で布団一式を買える時代になり、綿や羽毛といった自然からの製品ではなく、化繊といわれるプラスチック製のものが出回り、昔のように打ち返ししをして大切に使用するということが減ってきているように思います。また、焼却することで温室効果ガスを発生させ、地球温暖化を進めてしまいます。

羽毛を使い捨てる → 清掃工場で焼却する → 二酸化炭素を排出する

ということになります。羽毛は、約1㎏燃やすと約1.8㎏の二酸化炭素を発生させてしまいます。これまで分別していなかった羽毛をリサイクルして、少しでも二酸化炭素を発生させない社会を作りたいと考えます。

 

三重県にある河田フェザー㈱ 明和工場を視察しました。この会社は羽毛布団やダウンジャケットのリサイクルをしている会社で、創業1891年(明治24年)から羽毛を扱っており、羽毛精製に適した超軟水や湿度の低い気候を求めて100年前に明和町工場を構えています。

 扱う羽毛は、年間2000t/年。グループ企業内で、羽毛原料やリサイクル羽毛を仕入れ、

 精製加工(洗浄)、販売、精製羽毛の加工・販売を一手に行っていました。

<明和工場>

①保管 ②破袋 ③除塵 ④洗浄 ⑤乾燥 ⑥冷却除塵 ⑦最終選別 ⑧MIX ⑨出荷の工程を見学

 ①保管:海外から輸入してきた羽毛を保管

    ダックは、スペイン、台湾、フランス、

    グース:ポーランド、ハンガリー、

    ウクライナはダックとグースだが、現在、ウクライナはストップしている。

世界中から集まってきた使用済みのダウン

・保管スペースは動物臭がしいて、まだ洗っていない汚いものなので触らないようにと注意を受けました。

②破袋:羽毛の袋を機械に入れて袋を破き、羽毛をほこり除去装置に入れる

③除塵:装置で振動を与え、油脂分を含んだほこりやあかを取り除く

④洗浄:高速回転洗濯機、超軟水で洗浄する(明和町特有の水は、超軟水で、羽毛の隅々にまで浸透し、高い還元力で損傷した羽毛を修復する力があるそうです)

⑤乾燥:120℃で40分乾燥。気流をつくっているため高温でも焦げない。

⑥冷却除塵:36℃に冷却し、目に見えないほこりやアカを取り除く。

       ⇒ここで出た羽毛の粉末は、別の会社に売却し、KPE段ボールにしている。

⑦最終選別:ダウンとフェザーを選別。

      羽軸があるフェザーは、羽毛より重いため、それぞれが分かれるような仕組みの          機械になっている。

⑧MIX:安定した品質の羽毛を提供するために、産地や種類が同じ羽毛を2種類以上ブレンドして均一の製品をつくる。オリジナルの機械で出荷するために入れるベール(袋)に充填する。

⑨出荷:内部資格認定者による確認や分析試験結果等を受け、確かな品質の精毛として出荷される。

※工場内の一画に一般社団法人UMOUサイエンスラボが置かれており、洗浄・選別後に汚れが残っていないか、ダウンの含有量のチェックを河田独自の厳しい基準で検査が行われている⇒無臭

 

<ダウンの循環のしくみ>

①グリーンダウンプロジェクト(GDP)=羽毛循環サイクル会社

→国内の寝具メーカーやアパレルメーカーなどと共に、一般社団法人Green Down Project(2015年4月3日発足)を組織し、羽毛資源の循環に取り組んでいる。羽毛製品を回収し、解体して取り出した羽毛を精製加工後、リサイクル羽毛(グリーンダウン)を使った製品が再び店頭に並ぶこと。この取組みは一社だけではできない。たくさんの企業が「食用水鳥から産出された天然の副産物である羽毛を循環させ、次世代につなげたい」との思いでプロジェクトに取り組んでいる。

 

<障がい者雇用>

①回収した羽毛製品の解体作業は、工場のある明和町の障がい者就労支援施設「ありんこ」に委託。リサイクル可能な布団を解体専用の機械に1枚1枚セットし、布団を裂いて羽毛を取り出している。回収する羽毛製品が増えれば、障がい者の働く場所も確保でき安定した雇用につながる。 

②ハートステーションプロジェクト:地域内の企業や団体、チャリティショップや障がい者福祉施設等を回収拠点(ハートステ ーション)とし、羽毛の回収活動を連携して行っている。2020年に名古屋で始まり、2022年に和歌山、2024年には横浜、塚本、亀山、埼玉でも予定されている。

③UMOUプロジェクト

 

<メモ>

・現在は、生きた水鳥から羽毛をとることはできないため、食用の水鳥の副産物を利用している。

・1羽の水鳥からのダウン(ムネの毛)は、10gしか採れない。1枚のダウンジャケットをつくるためには10羽、羽毛布団なら100羽の水鳥を食べなくてはならない。

・水鳥の消費量は中国が75%。 残りの25%は、西欧・日本。

・中国が羽毛を使うようになったことや安価な食用肉の需要の高まりにより、良質な新しい羽毛が入らなくなった。鳥インフルエンザの影響もあり、新しい羽毛からリサイクル羽毛の循環へシフトしてきた。

・羽毛は、何度でもリサイクルでき100年持つとも言われている。

・羽毛の品質は、新毛よりリサイクル羽毛の方が良い。

・布団は粗大ごみとして出され、焼却すれば布団1枚から1.76㎏のCO2を出す。

・暖かいダウンは、省エネにも貢献、人にも環境にも優しい。

・市民や企業、地元団体、行政の連携で羽毛製品の回収ルートを活用することで、グリーンダウンプロジェクトも安定的な循環サイクルを確立できる。

 

<視察をして>

・洗う前の倉庫では、羽毛は袋に入っているのに動物臭がして改めて羽毛は動物の羽であることを再認識。

・羽毛は年々、とることができなくなっている。ダウンジャケットなど価格を下げるために、羽毛の量を減らし、プラスチックの綿が使用されてきている。リサイクル羽毛は、丁寧に洗浄するため新しい羽毛よりも品質は良くなるということだった。アレルギーも出にくくなるらしい。

・羽毛の回収プロジェクトは、昭島市、杉並区で行われている。

・江戸川区では、布団は中身の内容も関係なく粗大ごみとなってしまう。リサイクルできるものは、すべてリサイクルするという時代ではないだろうか。イベント等で、回収プロジェクトを行って、定期的に回収する仕組みを改めて提案したいと思う。