「合理的配慮」の具体的対応を~第一回定例会一般質問①
2019年江戸川区第1回定例会が開催されています。今期最後の一般質問に登壇、2つのテーマを取り上げました。
①「障害者差別解消法」に伴う「合理的配慮」について
江戸川区では、「全ての者が、互いを尊重し合い共生する地域社会を実現すること」を目的に、2018年4月、「手話言語条例」が施行されました。区内の聴覚障害者にとっても、手話が言語であると公に認められたことで、聴覚障害者への理解にもつながると期待をしています。
来年度からは、手話通訳者を派遣する「リレー手話通訳者」の派遣も始まりますが、手話はコミュニケーションツールの一つであり、すべての障害者のツールではありません。障害の特性や障害者のニーズに応じたコミュニケーション手段とその利用の機会が求められています。
具体的には、視覚障害者には点字書類を別途添付すること、発達障害者にはわかりやすい表現を使った情報提供、また聴覚障害者には手話の他に筆談ボードなどが考えられます。このような手段を使って、日常的に誰もがコミュニケーションできるようになることが、「障害者差別解消法」のいう「合理的配慮」のなされた社会と言えるのではないかと考えます。
手段だけではなく、さらに、建設的な意見の交換ができることが重要です。例えば、区内の市民団体が毎年行っているコンサートでは、車いすの方が「会場までは自分の車いすで出かけるけれども、会場についたら、長時間車いすに座って同じ姿勢を保っているのが大変なので、家族に支えてもらって自分で歩いて会場に入り、皆さんと同じ椅子に座って鑑賞したい」とおっしゃることに、車いすを受け付けで預かったり、同じく車いすを使っている方の「高齢者なので、当日、雨が降ったら行くことができませんが、申し込んでもよいですか?」という声に、どのような天気でも対応できるように準備していました。
このように、障害を持つ方は自分の思いを相手に伝え、相手は自然にそれに応えようとする、お互いの率直な意思の疎通ができるようになることが、基本的な合理的配慮に繋がるのだと思います。
2016年に、私たち生活者ネットワークが視察した明石市では、「合理的配慮」の提供に向けて、2つの体制をつくっていました。
1つは、障害者への理解の啓発です。明石市が実施する「高齢者大学」での研修、小学校での手話教室、市民フォーラムの開催、障害のある人とない人との相互理解を深めるための交流の機会、タウンミーティングを開催し当事者の声を聴くことのように合理的配慮を周囲が理解するための機会の提供と行っていました。
もう一つは、コミュニケーションツールの作成に係る費用、筆談ボードなど物品の購入費用、手すりやスロープの工事などに係る費用の一部の助成です。
2016年施行された「障害者差別解消法」では、「合理的配慮」の提供は、行政機関には法的義務となっており、江戸川区でも、学校や職員については「江戸川区における障害を理由とする差別解消法の差別の解消の推進に関する対応要領に係る留意事項」を定めています。そして、「第5期 江戸川区障害福祉計画」の中の「意思疎通支援事業」には、手話通訳者と要約筆記者の派遣が明記されていますが、意思疎通支援事業を必要としている人は聴覚障害者だけではありません。
また、「障害者差別解消法」では、事業者に対しては「合理的配慮」の提供は努力義務でしたが、2018年(平成30年)10月1日、東京都で施行された「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」では、この差別解消の取り組みを進めるために、事業者も自治体同様に障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止と、「合理的配慮」の提供が義務化されました。
「区内の事業者や、地域の事業者に対して、どのようにサポートしていくのか?」
「実効性のある『合理的配慮』をどのように考えているのか?」
について質問。「いずれも大事な問題だと考えている、理解を深めるための啓発を行い、相談については丁寧に対応していく」という回答でした。
具体的な対応について、検討するよう要望しました。