羽田空港機能強化 白紙撤回の要請
東京・生活者ネットワークでは、2019年8月8日、国土交通省に対し、「住民の生命と暮らしを脅かす、羽田空港機能強化に伴う都心低空飛行新ルート計画の白紙撤回と合理的代替案の再提示を求める」要請をしました。
8月7日「羽田ルート計画を3月から運用する」という国土交通省大臣の発表があり、新聞記事には8日に発表されました。このことを受けて、私たち東京・生活者ネットワークとして、衆議院議員の大河原まさこ議員と、水谷東京・生活者ネットワーク代表、品川区、豊島区、練馬区、中野区、杉並区、豊島区、江戸川区のそれぞれの生活者ネットワークの区議会議員が急遽集まり、「住民の生命と暮らしを脅かす、羽田空港機能強化に伴う都心低空飛行新ルート計画の白紙撤回と合理的代替案の再提示を求める」要請文を国土交通省 航空局 首都圏空港課長に手渡しました。
それぞれの地域からは、
中野:中野区には1000m近くから入ってきて900mくらいで新宿区に出ていくわけですが、危険や騒音に対する問題は、住民の中でも大きいものがあると実感している。オープンハウスの開催はあったが教室型の説明会を求める声も多いが、開催されていない。丁寧な説明という言葉はでてきているが、住民の望む形での説明をしっかり行ってもらいたい。
豊島:ルートの直下の地域は、豊島区でも学校も病院もある閑静な住宅街となっている。説明会では、十分な回答を得られなかったため、7月11日区長に申し入れをした。丁寧な前向きな回答を得るようにするという区長の言葉だった。事故が起こったときにどうするのか。ヒューマンエラーが多いということも聞いている。原発事故と同じような大事故になる可能性もあり。心配である。
品川:区議会では、「見直しを求める」という決議を出している。大臣の発言である、大前提の「住民の理解を前提としている」というが、その重みが感じられない。
練馬:落下物は、ゼロにはならないということ。自衛隊の駐屯地が2か所あり、航空機が多い環境にある。自衛隊機、米軍機が低空飛行をしている現状があるのに、さらに航空機が上空を飛行する。不安はぬぐえない。
杉並:杉並区の上空はルートにはないが、人は移動するという点において、出かけた先での心配は他人ごとではない。住民が安心して暮らせるようにするのが国の役目である。
江戸川:現在も悪天候の時には、本区の上空を飛んでいる。騒音に対しては、計測の平均値をとっているため、騒音対策レベルよりも下がってしまう。そのため騒音対策からははずれてしまっている。平均値ではなく、騒音対策レベルに達することがある以上検討するべき。また、車輪は、区内上空では降ろさないということだが、結構な頻度に実際に見ている。そういったことからも心配はぬぐえない。
上記のような意見を伝えました。
国交省からは、「自治体からは、機能強化についての意見や要望をもらっている。国としてできることは何か? さらなる情報提供を進めるとは何か、ということを改めて検討し、7月30日の連絡会で追加対策、意見に対する検討結果として示した。
騒音に対しては、航空機の降下角度を3度から3.5度に引き上げることについて、極力できることはなにか、ということで、安全第一を考えたうえで、追加的な施設整備についても関係者と調整を図っていく。
説明については、この秋以降もオーブンハウスを行いながら、住民に対し説明を行っていく。地域の事情を踏まえて関係自治体と調整していく。
飛び始める前だけではなく、飛び始めた後も、関係自治体と情報交換や意見交換をして、対応していく。
埼玉、千葉、神奈川や川崎市、東京都、特別区との協議会の中で、これまでやってきたことを評価をいただいた。落下物、騒音、住民に対しても説明していく。インバウンド、日本経済において、羽田空港機能強化を必要だと思っている。
特別区長会は、「国の責任のもとで行っていくものと理解している」としているということだった。
住民の不安は認識しており「丁寧に対応していく」ということを踏まえて8月7日の発表となった。地元の理解を得たと考えている。
というものでした。
はたして、国交省の認識する「住民の理解」とはどのようなものなのでしょう?私たちは、少しも理解できず、心配をぬぐえない。住民が置き去りの、勝手な「住民の理解」を得たという国の判断。さらに、私たちの首長である特別区23区の区長会では、「国の責任において」と、地元の住民のことなのに、国に責任転嫁しています。
けして地元の住民が理解しているという状況にはありません。
都心低空飛行新ルート計画の白紙撤回と合理的代替案の再提示を求めます。