2020年第1回江戸川区定例会一般質問 ②子どもの権利を守る取り組みについて

②子どもの権利を守るための取り組みについて

江戸川・生活者ネットワークが長年にわたり提案してきました「子どもの権利条例」の制定の予定が示されました。

江戸川区子ども・子育て支援事業計画では「子どもの最善の利益を実現する地域共生社会」をめざすことを基本理念とする「未来を支える江戸川こどもプラン」を策定中であり、子どもの育ちを社会全体で支える施策が、前進していることを感じています。

その素案の中にも「(仮称)江戸川子どもの権利条例」が制定予定であることが記され、その基盤が国連の「児童の権利に関する条約」であるとし、その条約の4つの一般原則、「生命、生存及び発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「子どもの意見の尊重」「差別の禁止」が示されていました。国連が子どもの権利条約を採択したのは1989年、その後1994年に日本も批准しました。自治体での最初の制定は、2001年の川崎市が行っており、、最近では西東京市が2018年9月に制定しています。

自治体関係者と研究者・専門家・NPO 等が連携・協力して、2002年から毎年、子ども施策のあり方やまち・コミュニティづくりをどのように進めていくのかを考える「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムが開催されており、参加しています。各自治体での実践報告がされ、活発な意見交換があり、条例制定がゴールではなく、条例制定後の実践が大切であることを実感しました。日本で最初に制定した自治体は川崎市では条例制定前から、「子どもの権利とは」ということが、市民の間で話題になっていました。江戸川区でも、すべての人が子どもが権利の主体であることを知り、権利とは何かを理解することから始まると考えます。

子どもに関する施策においては、大人が一方的に制度をつくりあげ、そこに子どもをあてはめるのではなく、子どもの意見を聞き、「子どもの最善の利益」を中心において、子どもと一緒に作っていくことが大切だという国連勧告がありました。子どもの意見を聞くことの大切さ、子どもがあらゆる政策決定のプロセスに最初から参加することを求められています。

また、子どもの権利を守るためには、大人はもちろんのこと、子ども自身がその権利を知ることが必要です。そのために西東京市では、子ども条例のリーフレットや逐条解説を作成し、あらゆる機会をとらえ普及啓発を行っています。市内行事での紹介やパネル展示、教職員にむけての研修や、子ども条例について理解を深めるために小学校6年生の授業でも取り入れ、使用する副読本も作成していました。

江戸川区のすべての子どもたちが、どんなことでも必ず自分の気持ちを聞いてもらえる大人がいること、何かあったら助けてもらえる社会であるということを理解し、大人に対する信頼感を持って育つことがなにより大切だと思います。

子どもたちの声をどのように取り入れてとくっていくのか、広報や周知の仕方はどのようにしていくのかを問いました。

また、子どもの言葉を聞くといっても、子どもの権利が守られるためには、子どもが困ったときに、電話やメール、あるいは面談などが気軽にできて、困りごとが解決されることが必要だと思っています。

今でも、学校の先生や、子どもにかかわる大人は、子どもからの相談を受け止めていますが、子どもにかかわる大人からの不適切な助言や指導が問題となることもあります。このような場合に子どもの最善の利益を考えていくには、子どものケースワークを第三者機関「子どもオンブズパーソン」が行うのが適切だと考えています。

相談で解決しない場合は、救済を申し立てることができ、必要に応じて、調査や相談者と関係者などの間に入り、調整を行える「子どもオンブズパーソン」を置くことが必要だと考えます。

こうしたオンブズ活動の前提にあるものは、相互の信頼です。

子どもや保護者、関係者とともに「子どもの最善の利益」について考えながら、お互いの思いや願いを整理しつつ、生じている「ずれ」を確認しながら相互の理解が深まるように支援することだと思います。こうしたケース検討を積み重ね、制度的な問題がある場合は、改善への意見表明や是正勧告を行うことや人権に関する課題について意見の公表を行うことも必要だと考えました。