2021年第3回定例会一般質問① 「学校給食について」

第3回江戸川区定例会

9月21日から10月28日(38日間)開催されました。

 

今回は、学校給食とGIGAスクール構想についての質問をしました。

まず、学校給食についてです。

江戸川・生活者ネットワークが、設立以来改善を求めてきた学校給食の食器についての質問です。

現在のような形で学校給食が普及したのは戦後のことと言われています。始めはアルマイトの食器が使われ、次に「メラミン樹脂」の食器が普及しました。しかしこのメラミン食器は、軽くて扱いやすいものの、洗浄後に熱風食器乾燥機で乾燥します。その際に、傷から樹脂が溶けだし有害物質が発生するとの研究結果が報告されています。

 

江戸川区では、1998年に「学校給食で使用しているメラミン食器の変更を求める陳情」が、2000人以上の署名とともに、文教委員会に付託されました。

 

陳情では「メラミン製食器は、メラミンとホルムアルデヒドを重合(合わせたもの)したプラスチックで、ホルムアルデヒドは毒性が強く、「劇物」に指定される発がん性物質。厚生省(当時の)では、使用の規制をしている。江戸川区では、使用サイクルを決め新しいものと変えているが、新しいものでも溶出するという指摘もあり、わずかな溶出量でも不安である。子どもたちが毎日食べる学校給食の食器は、安心して使えるものでなくてはならない」と、メラミン食器のを他の食器に変更することを求めていました。

当時の文教委員会では、「厚生省がホルムアルデヒドの溶出量の基準を定めて、その範囲での溶出を許容しているとしても、発がん性を否定できない以上、生命及び健康重視の見地から、疑わしきは使用せずという原則に立つべきであること。児童・生徒への食器の取り扱いに関する教育指導の徹底や食器の段階的な転換等により対応が可能なことから、メラミン食器の変更を求める本陳情の含意は妥当であるとの結論に達し、全会一致、採択すべきものと決定した次第であります。」と結論を出しています。

その陳情から、すでに22年が経っています。すべての小中学校で、使用されている食器はすでに変更がなされているものと信じていましたが、全てではなかったのです!!

未だに、変更ができていない学校が、4校ありました。

 

メラミン食器を未だ使用している理由は、「強化磁器食器は、メラミン食器より大きく、重さも重いため、運ぶためにはかごを増やさないといけない、そうなると、配膳台・運搬車も熱風消毒保管庫も増やさないといけなくなり、場所がない」ということからです。

メラミン食器など樹脂食器の耐用使用回数は1000回程度とされています。学校給食では、年間180回から200回程度使用するとして、耐用年数は、5・6年を目安として交換されています。現在もメラミン食器を使用している学校では、この22年の間に、3・4回総取り換えをしていることになります。強化磁器食器は以前よりも軽くて薄いものが開発されている昨今、変更の検討はなかったのでしょうか。

 

一度、現在もメラミン食器を使用している学校の給食室を視察しました。

学級の数分あるのが望ましいとされる配膳台・運搬車も、一回り大きい配膳台・運搬車を2クラスで使用するなど、場所の確保を工夫して使用していました。作業の動線を考え、熱風消毒保管庫などを増やすには、給食室自体が狭く感じました。

 

しかし、発がん性などの危険性が疑われる食器を、すぐに取り換えることが出来た学校がある中で、未だに使用している学校があることは子どもたちの健康に関する不公平につながります。食器を変更しなかったことによる不公平な状態になっていることについての質問しました。

 

 

 

次に、有機野菜を使用した給食についてです。

農薬も化学肥料も使わずに育てた有機米や有機野菜を学校給食に取り入れる動きが、全国に広がっています。

これは、田んぼや畑に使用される除草剤に含まれるグリフォサートや殺虫剤に含まれるネオニコチノイド系農薬が、子どもの発達障害やアレルギーとの因果関係を疑われていることから、世界各地で使用禁止の動きが高まってきているからです。

日本では、農民連食品分析センターが2019年に調べた全国の給食用パンの大半から、微量のグリフォサートが検出されています。

 

「食事をいくら家庭で気を付けていても、農薬が残留した野菜を学校で食べているのでは、子どもの健康を守れない」と、心配する保護者の声が上がっています。

2019年、NPO法人福島県有機農業ネットワークが、慣行食材(通常の市販の食材)を食べ続けた集団と、有機食材を5日間摂った人の農薬の体内残留濃度を調べ、結果を公表しました。

5日間有機野菜を食べ続けた人の体内農薬は、慣行食材を食べ続けた人に比べて約半分になっており、さらに1か月間続けた人は1割未満の濃度になっていました。

東京都教育委員会が、毎年公表している「東京都における学校給食の実態」の2019年度では、有機農産物を使用している小学校は9校、中学校では5校が有機農産物を使用しているとなっています。この表では、量的なことはわかりませんが少なからず有機農産物を使用している学校があることが分かります。

また、生産された地域の慣行レベルに比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下であるということと、化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培された特別栽培農産物は、小学校46校、中学校が26校となっていました。

江戸川区では、「学校給食の運営について」という指針が毎年更新されて配られています。その中の「環境にやさしい学校給食の促進について」という項目では、食品の選定について「国産食材の使用を優先し、環境にやさしくより安全な食材(有機農産物・特別栽培農産物、非遺伝子組み換え食品等)の選定にご配慮ください」とあることから上記のように有機野菜や特別栽培農産物を使用している学校があるわけです。

 

また給食では、SDGsやフードロスの視点も重要です。

学校給食で有機野菜を使用することで、有機野菜の生産農家が増え、価格の安定につながり、社会的貢献度も大きいと考えられています。 農林水産省でも、有機農業に係わる人材育成や産地づくり、販売機会の多様化や消費者への理解増進など取り組みを推進していることからも、少々価格が高いとしても、有機野菜を使用する意義は大きいと考えられます。

少ない給食費の中からすでに有機野菜を使用している学校があることからも、全校で有機野菜を使用することは可能だと考えます。計画的に徐々に変えていくこともできるのではないでしょうか。

使用するすべての野菜を有機野菜に変えていくことを提案しました。

 

 

最後に「ギガスクール構想」に基づき、学校で貸与したタブレット端末などについてです。

昨年3月、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、保護者は、子どもを学校に送り出して仕事に向かうという、生活ができなくなり、私たちは前代未聞の学校の一斉休校を経験しました。 社会全体が混乱した中で、学校現場では、子どもたちの学びを止めないために、どうすればよいのか、試行錯誤の連続であったと推察いたします。

それまでは、学校教育の情報化推進計画に基づき、機材の整備、教員のスキルアップを進めてきましたが、コロナ禍により、「ギガスクール構想」が前倒しとなり、ICT教育が一気に加速しました。

小中学生1人に、1台のタブレット端末は、今年5月末までに全小中学校へ配布され、子どもたちへは夏季休業の前までには渡される予定でしたが、実際に児童生徒の手元に届いた時期は、学校によってまちまちでした。

また、タブレット端末が鉛筆やノートと並ぶ「新しい文房具」として活用できるように、Wi-Fi環境が整っていない家庭には、モバイルルーターの貸し出しを行っています。学校においても家庭においても、1人1台のタブレット端末を使用できる環境が整ったことになります。

一方社会は、コロナ禍により在宅ワークに切り替わる会社、雇止めをする会社などで、家に居る大人が多くなりました。学校が夏休みで、子どもも保護者も家に居る状態も生じることになりました。 保護者は、四六時中子どもに目を光らすというわけにもいかないところにタブレット端末があるのですから、子どもたちにはかっこうのおもちゃを与えられたようなものです。保護者からは、「子どもがYouTube漬けになっている、どうにかならないのか」という声を聞くようになりました。

学習のための端末であるという前提のもとに貸し出されたタブレット端末は、 「学習用タブレット端末活用ガイド」と共に配られています。そこには、「ご家庭で使用時間等のルールを決め、有効な学習用具として取り扱えるようご協力をお願いします。」とありました。インターネットが、世の中に普及したとは言え、使い方は家庭によってまちまちで、どのようなものなのかわからないという家庭もあるのが現実です。家庭でルールを用いて使うというのは、一見合理的に聞こえますが、情報モラル、情報セキュリティ意識も社会全体がまだまだ高くない状況にある中では、もう少し丁寧に行う必要があったのではないかと考えます。

先日の子育て教育力向上特別委員会では、学校現場でのタブレット端末の使いかたについての報告がありました。「小学校では、教員が持つ指導用タブレットと児童が持つタブレットが異なり、指導がしにくい」「モバイルルーターの貸し出しをしたが、想定外の使い方があったようで、使用料が多い家庭もあった」「ITの得意な教員、得意ではない教員がいて、その使い方には差がある」ということでした。

そこで、4点お聞きします。

まず、モバイルルーターを貸し出す際に、使い方についての説明を行い、時間やデータ量の使用の上限を決めるなど、学校と家庭の間において書面による約束ごとや決め事はあったのかということ。

タブレット端末の家庭での使用方法は、各家庭での約束のみできめられているのか。

3つ目に、小学校での教員用のタブレットと児童用のタブレットが異なることについて、教員の負担を考えれば早急に解決することが必要だと考えます。お考えを伺います。

最後に、コロナ禍による「ギガスクール構想」の前倒しにより、ICT化が進みましたが、第3次学校教育情報化推進計画は、2019年度から2022年度までを計画期間としています。 これまでは各学校にパソコン室を整備してきましたが、児童生徒にタブレットを一人1台配布することで、パソコン室の使い方も変わってくると考えます。学校現場では、この先どのようにICTをとりいれ、子どもたちの学びを進めていくのでしょうか。第4次学校情報化推進計画の今後の見通しについて、コンサルタントを入れるということでしたが、区としての見通しをお聞かせください。

以上で、私の1回目の質問を終わります。