2023年第1回江戸川区議会定例会 2/3 ◆「有機農業の推進について」◆
◆「有機農業の推進について」◆
2021年5月、国は、有機農業用の農地を2050年に100万ヘクタール(全体の約25%)に増やす目標などを盛り込んだ農業戦略をまとめています。
ここで言う有機農業・有機農産物というのは、2006年度に策定された「有機農業の推進に関する法律」において「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう」と定義されています。
この取り組みに向けては、国も自治体と共に連携していくとして有機農業の生産拡大と国産シェアの拡大を図るように努めることとすると記載され、消費者の健康の保護などの目的のためにFAO、国際連合食糧農業機関とWHOによって設置された国際的な政府間機関のコーデックス委員会では「有機的に生産される食品の生産、加工、表示および販売に係るガイドライン」の中で、有機農業は、生物の多様性、生物的循環及び土壌の生物活性等、農業生態系の健全性を促進し強化する全体的な生産管理システムである」としています。
江戸川区には、現在約50ヘクタールの農地があります。
「まちづくりニュース」には、これまでの約30年間に6割以上が減少しているとありました。国の都市における農地の位置づけは、これまでは「宅地化すべきもの」としていましたが、今では「都市にあるべきもの」と転換し、計画的に保全していくものと大きく変わりました。
江戸川区は、これまでにも農業の振興として様々な支援事業が行われてきましたが、昨年には鹿骨地区の「農の風景」というワークショップも行われさらなる展開が期待されるところです。
「農の風景に関するアンケート」でも、地域での「新鮮な農作物の供給を期待する」という回答が7割以上となっていました。多くの方が地産地消を望んでいることが分かることから、有機農法での農作物を増やすことの検討を要望しました。
有機農法による土地の改良には時間がかかりますが、行うことで環境への負荷をできる限り低減することができ、SDGsにも寄与します。そこにある生態系と共存・共生の関係を重視し、多くの生き物が暮らせるようになるということであり、豊かな生態系が保たれた状態は、土の状態が健康であるということになり、さまざまな生物が生存するからこそ、土に多くの栄養が補給され、作物にも質の高い栄養が得られます。
有機農業を推進している佐渡市では、ネオニコチノイド系の農薬の使用により国の特別天然記念物のトキの餌であるトンボの幼虫が減ってしまったことから、2007年にトキの餌場の確保と生物多様性の米づくりを目的とした「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」を立ち上げ、独自農法による佐渡産コシヒカリのブランド、「朱鷺と暮らす郷」を生産しています。
食の安全への意識の高まる中で、都市農業としての観点からも「顔の見える」地元産の新鮮な農産物として、有機栽培という付加価値を付けることもできます。
以下の質問をしました。
・区内農業の持続可能な農業振興を図るために、有機農法で行われている市場に出ているものの作付面積などの実態調査を行なうことについて。
回答:理想としては、反対する人はいないと思うが、現実には、賛否両論ある。農業経営者クラブやJAのみなさんとも相談して検討する。
- その実態調査をもとに、有機農法での作付け面積を増やしていき、販売ルートなどの構築や農作業体験の拡充など体系的な仕組みの方針、農業振興計画を策定することについて
回答:農業振興計画等については、区内の農家さん、農業経営者クラブ、JAなどと相談しながら今後の対応を考える。